陽炎フラット45Sの解説

Length:45mm  Weight:4.0g  Type Sinking    ヒノキ製

 

 

渓流や流れのあるエリアフィッシング用に開発したヒノキ製のシンキングミノー。

 

このルアーは扁平ボディの燕40HSを使っている中で、「より早く沈んでほしい。」と思った事がキッカケとなっています。また扁平ボディではない、渓流用のミノーが欲しくて作り始めました。

私のルアーの基本はブラックバス用のクランクベイトです。そこからミノーなどを作るようになった中で、渓流用のシンキングミノーは最も離れているジャンルに感じました。というのもプロトタイプが上手くいかなく、調整の仕方も全然分かりませんでした。なので一つ一つセッティングを変え、道筋を探っていきました。

 

 

初めはバルサボディで作っていました。慣れ親しんだ素材で探り探り進めたのですが、以前からバルサのような軽い木は、フローティング使用や浅いレンジを泳ぐルアーに適している、という知識がありました。逆にシンキングや深いレンジを泳がすのには重い木を使うのが、私のセオリーです。シンキングミノーもその例に漏れないと感じたので、バルサの中でも重いもの、杉、ヒノキ、アガチスを試していきました。重いバルサではさほど変わらない。杉は節で亀裂が入りやすく小さいミノーの加工に不向き、アガチスは重すぎでバランスがとりにくい。そのことからボディ素材にはヒノキを使用する事になりました。

 

 

 

 

ある程度条件が絞れてきた中で、いくつかの形を試していきました。ボディの形は勿論、ウエイトをどのように入れるのか?教科書の無い私にはとても難解でした。ある程度目安が付き、幾つか作ってテスト!結果は全てダメ、そんな事もありました。

 

 

改めて考え、いや考えずに自然と体動くようにプロトを作りました。考えすぎるとこねくり回して余計な事をしていた気がしたんです。アルミも貼らずにシンプルに仕上げたモデルがポン!と釣果を出してくれました。他のモデルよりも反応がよく、この方向性で作っていけばいいと感じられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

60サイズのニジマスも仕留めました。(リヴァスポット早戸にて)

今思えばトゥイッチからのふらつき(フォール)で魚が反応していました。強い流れの中にいる個体に対して強いトゥイッチでルアーを上げ、ラインスラックを作りフリーフォール。燕40HSでやるような使い方が良かったようです。

これを受けて3タイプ新たに作りました。同じ形状の物と少し変えたものを2つ。このサイズになってくると人間から見てどれも良いように感じたりもしますが、魚からの反応には差が出てきました。

 

 

夏の渓流では4タイプをローテーションして使いました。使い心地に多少差があり、それとなく自分のお気に入りが出てくるものですが、一番優先するのは魚の反応。

 

 

使い込んでいく中で何だかよく分からないけど、これを使っている時に釣れている・・・。といったような言葉で表現出来ない所を素直に受け入れました。

 

 

そのせいか渋い状況で尺イワナが反応してくれました。

PDCAサイクルが上手く出来たと思いました。このルアーの特徴はやはりボディ素材にヒノキを使っている事だと思います。バルサやプラ製と違ってバランスを崩してからのラグがあり、その動きが魚を反応させます。ラグがある為、トゥイッチでの動かし方は「トン、トン、トン。」といった1ピッチでの操作が基本となります。ボディの揺らめき・・・という所から「陽炎フラット45S」という名前になりました。

 

 

 

その後リヴァスポット早戸でもよく反応してくれることを確認し、製品化となりました。

 

慣れているバス用のクランクベイトから離れて挑戦したルアーは、2年半くらい掛かってしまいました。途中これでもう決めていいかな?と思うこともありましたが、考え直してじっくり作ることで様々な要素をクリア出来たと思います。焦っちゃいけないですね。 一つ心残りなのは角ばった形状なので、リアルフェイスにしても魚っぽい見た目にならなかった事ですね。プロトタイプの丸みを帯びている方がカッコ良いのですが、釣果を優先してこうなりました。

 

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